房州ひじき
房州ひじき
旧暦の2/1~3/15までの間の大潮と中潮の干潮時の晴れた日のみに行われる貴重なひじき狩りの見学することができました。潮が引き、普段は海の中に生息するひじきの岩場が現れたときに地元のひじき狩りをする方々がヘルメットを被り、一斉にかごを持って現れます。房州には7つの浜があり、それぞれの浜でひじき狩りが行われていますが、浜によってひじきの生育状況も異なるようで、長めのひじきがとれる浜や短めのひじきがとれる浜など、違いがあるそうです。
獲れたばかりの生のひじきは緑がかった色をしていて、わかめに近い印象にも思えますが、想像よりも芯があり非常に硬いです。大半の乾燥ひじきは獲れたひじきを天日乾燥した後にスチームで蒸し、再度乾燥させるという「伊勢方式」で作られています。今回伺った加工場では、獲れたての生のひじきを5~6時間煮てから乾燥させるという房総半島に昔から伝わる伝統の製法で丁寧に作られていました。
今回訪問した加工場では1つの釜に対して約2トンほどのひじきを入れて一度に煮込みます。水分を多く含んでいるひじきはとても重く、釜に入れるのも一苦労。ひじきを釜に入れては押し込み、かさが減ってはまたひじきを足す・・・釜いっぱいに溢れだしそうなぐらい盛られていたひじきも徐々に四隅から湯気が上がり水分が溢れ出し、数時間後には加工場全体が白く湯気に包まれ、指でつまめる柔らかさになるまでしっかりと釜の中で煮込まれます。生のひじきをそのまま煮ることで、磯の香りが残り、風味が良く、お家で戻した時にはふっくらとしたひじきに仕上がります。
黒潮が流れ、荒潮で育った肉厚で良質なひじきの素材本来の味を最大限に活かす為、昔ながらの伝統を守り、丁寧に時間をかけて加工を行っていました。ぜひたくさんの想いが詰まったひじきをお召し上がりください。
視察日
2024年3月
産地名
千葉県
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